思考に気づけば苦しみは消える|バイロン・ケイティに学ぶ心の自由と「ザ・ワーク」
ふとした出来事で、心がざわつくことはありませんか。
誰かの言葉に傷ついたり、無視された気がして落ち込んだり。
その瞬間、私たちは「現実」に苦しんでいると思いがちですが、実はそうではないかもしれません。
アメリカの作家であり、自己探求メソッド「ザ・ワーク」の創始者、バイロン・ケイティは言います。
「私たちは出来事そのものではなく、それについての思考に苦しんでいる。」
確かにそうですよね。
ただ、頭ではわかっているのですが、なかなか腑に落とせません。
けれど、彼女の著書『ザ・ワーク』を丁寧に実践すると、凝り固まっていた現実の中に小さなスペースが生まれるように感じます。
人生が苦しいと感じている人へ。
この本は、「状況が変わらなくても思考が変われば世界が変わる」という希望を教えてくれます。
私たちは現実ではなく「思考」に苦しんでいる|バイロン・ケイティが語る真実

たとえば、友人からの返信が来ない。
その事実はただ「返信がまだ来ていない」という一点だけです。
でも私たちはそこに、「嫌われたのかも」「もう必要とされていない」という物語をくっつけます。
その「物語」が、苦しみの正体です。
思考は、まるで自動翻訳機のように出来事に意味を与え、心の中にドラマを作り出してしまうのです。
↑この本を読むと「思考」って勝手にわき出てくるものなんだとよくわかります。
「ザ・ワーク」の4つの質問とは?思考を手放す実践ステップ

ケイティが生み出したメソッド「ザ・ワーク」は、自分の思考を「本当にそうですか?」と問い直しはっきりさせるきっかけになります。
4つの問いを通して、私たちが信じている「物語」を少しずつほどいていきます。
4つの問いは、次のようなシンプルな質問です。
それは本当?
絶対にそうだと言い切れる?
その考えを信じると、あなたはどう感じる?
その考えがなかったら、どんな気持ちになる?
この問いは、相手を責めるためではなく、自分の中の思い込みに光を当てるためのものです。
たとえば「私はいつも後回しにされる」という思い。
そう感じると、心はすぐに過去の似た場面を引っ張り出してきます。
多くの人は、最初の質問には自然と『はい』と答えるでしょう。
でも2番目の問い「絶対にそうだと言い切れる?」と問われると、意外にも「そうとは限らない」ことに気づきます。
よく考えてみたら、今までの人生の中で常に、絶対に、後回しにされてきたわけではなかったのですから。
問いを重ねるうちに、思考が少しずつ溶けていきます。
3番目の質問は、「私はいつも後回しにされる」と信じるとどう感じるかということ。
その考えを信じると、胸が苦しくなり、悲しみや怒りが湧いてくるでしょう。
そして4番目の質問です。
「私はいつも後回しにされる」という思考がなければどんな気持ちになるか?
今まで信じていた「嫌な思い込み」がなかったら、どんな気持ちになるでしょうか。
↑この本もめちゃおすすめです!!
反転(ターンアラウンド)で視点を変える|思考を自由にする方法

4つの問いのあとにケイティはもう一歩、「反転(ターンアラウンド)」というステップをすすめます。
これは、自分の思考を反転させて新しい視点を得るためのステップです。
「彼が私を傷つけた」という思いを例にすると、「私は私を傷つけた」や「彼は私を傷つけていない」に置き換えてみるのです。
最初は反発が湧くかもしれません。
とても受け入れがたいと感じるかもしれませんが、ここにこそバイロン・ケイティの教えの核心があります。
自分を大切にしていないのは自分だったことに気づいたり、相手に過剰な期待をしていただけだったり――そう感じられる瞬間が、心の奥に静けさを呼び戻します。
この「反転」は、「どちらが正しいか」を決める作業ではありません。
「どんな見方が自分を自由にするか」を探す方法なのです。
↑この本まだ読んでない人は読んでみて!
苦しみは「気づきのサイン」|思考に気づくことで心が軽くなる

ケイティはこう語っています。
「苦しみは、あなたの心が“ここに気づいて”と呼びかけているサインです。」
つまり、痛みは排除すべきものではなく、自分を理解するための入り口。
「私は愛されていない」「私は十分じゃない」と思う時、その思考を信じている限り、現実はどこまでも苦しく見えます。
けれど、「その思考がなかったら?」と問うだけで、心に小さな空間が生まれます。
その空間には、静けさがあります。
そこでは、現実はただ「起きているだけ」。
出来事に意味を与えていたのは、いつも私たちの側なのです。
↑こちらもおすすめ。自分に対する質問の仕方を変えるだけで人生が変わります。
思考が静まるとき、世界は優しく変わる

ケイティ自身、かつては深い絶望の中にいました。
自己否定、怒り、無力感――すべてに押しつぶされていた彼女は、ある朝ふと気づきました。
「私は、思考を信じていただけだった。」
現実は変わらなくても、心が自由に変わった瞬間から、彼女の人生はまるで別のものになりました。
その体験から生まれた「ザ・ワーク」は、他人や環境を変えるためのものではなく、自分の見方を変えることで、現実と和解するための方法です。
「現実はいつも優しい。苦しいのは、それに逆らっているときだけ。」
この言葉の意味がわかると、世界は少し違って見えてきます。
↑この本タイトルを変えた方が売れるのでは?と思っています。図書館で借りて読んで、とてもよかったので実際に購入しました。
ザ・ワークが教えてくれる心の自由

悩みや痛みを完全に消すことは、おそらくできません。
でも、その中で自分の思考を観察することは誰にでもできます。
「この思考は本当?」
「それがなかったら、私はどう感じる?」
たとえ答えが見つからなくても、問いを開いておくだけで、心は少しずつ柔らかくなります。
苦しみは、あなたを責めるためではなく、あなたを本当の自分へと連れ戻すための道しるべ。
そのことに気づいた瞬間、世界はあなたを傷つける場所ではなくなります。
※この本は1回さらっと読んで「ふんふん。なるほど」と思うだけでは変わりません。
じっくりと時間をかけてワークするのをおすすめします。

