直島観光:車なしで1日4つの美術館を巡る際のポイントと注意点

直島は香川県に位置する小さな島で、草間彌生の赤と黄色の南瓜オブジェや安藤忠雄設計の地中美術館をはじめとする、アート好きにはたまらない観光地です。

車なしでも島を巡ることが可能で、自然とアートが調和した独特の魅力があります。

今回、年末に直島を訪れ、1日で4つの美術館を巡った体験から、車なしでの観光を計画する際の注意点と、特に印象に残った美術作品などを紹介します。

車なし観光:計画段階での注意点

車なし直島観光を成功させるカギは、「予約」と「効率的な移動計画」にあります。

美術館を楽しむためには予約必須

地中美術館や杉本博司ギャラリーは、時間制の予約が必要です。

当日券を狙うのは危険で、観光客が多い休日や連休の場合、希望する時間帯の予約が取れない可能性が高いでしょう。

実際に私が訪れた年末の日曜日も、地中美術館のチケットは完売というお知らせを目にしました。

また、1日に何カ所か美術館を巡りたいならそのルートを考えておかないと、予約時間に間に合わないかもしれません。

行き当たりばったりでは、1日で4つの美術館を巡ることは難しいでしょう。

せっかくの旅行を楽しむためにも事前に公式サイトで予約をし、美術館の予約時間を基に効率的なルートを立てるのをおすすめします。

交通手段とルート計画の重要性

直島内の交通手段は以下の通りです。

  • 町営バス(安価だが混雑しがち)
  • シャトルバス(美術館エリア内を移動可能)
  • レンタルサイクル(電動がおすすめ)
  • タクシー(島内に2台しかないため、あてにできない)
  • 徒歩(体力が必要)

1日で美術館巡りをするなら、効率的なルート作りが大事です。

この島にはいくつかの移動手段があるので、それぞれの特徴を理解して、自分に合った方法を選びましょう。

自家用車で移動するのは便利ですが、車両ごとフェリーに乗せると料金が高くつくので、今回は見送りました。

事前プランでは、まず町営バスで美術館エリアに行き、美術館エリア内ではシャトルバスを使うことにしていました。

行く予定の美術館はベネッセハウスミュージアム、ヴァレーギャラリー、地中美術館、杉本博司ギャラリーです。

そのため、事前に町営バスとシャトルバスの時刻表と、美術館の予約時間とにらめっこして最適なルートを決めました。

そのルートがこちらです。

09:30 ベネッセハウスミュージアム(ランチ含む)

11:52 地中美術館(11:45入場のチケット予約)

13:17 ヴァレーギャラリー

13:42 杉本博司ギャラリー(13:30入場のチケット予約)

時間が細かいのは、シャトルバスに合わせているためです。

予定通りに行かなかった原因と対策(直島の交通の現状)

きちんとした計画を立てていたにもかかわらず、直島観光のスタートから、私たちは予想外のトラブルに見舞われました。

宮浦港に到着し、事前に調べた町営バスの時刻には余裕で間に合ったのですが、乗客が多すぎてバスに乗れなかったのです。

次のバスが来るまでには40分ほど待たなければならず、計画が大きく狂ってしまいました。(計画どおりに行かないと、入場時間が決まっている美術館に入れなくなります!)

宮浦港から地中美術館までは徒歩で30分ほどの距離ですが、今回は1歳と2歳のチビさんが一緒だったため、歩くという選択肢は現実的ではありません。

タクシーを利用することも考えましたが、直島にはタクシーが2台しかなく、すでにどちらも他の観光客に使われていました。

レンタカーを借りることも一つの方法で、4人乗りのレンタカーは空いていたのですが、大人4人と子ども2人という人数では利用できませんでした。

そこで最終的に選んだのが、電動レンタサイクルです。

直島は坂道が多いため、電動でない普通の自転車ではかなり苦労しそうでした。

レンタサイクルには店舗により価格のばらつきがあり、電動自転車は1日1,200円から1,500円ほど。(※年末年始価格でした。)

子ども乗せがついた電動自転車はそれより少し割高でしたが、これを借りて何とか美術館エリアまで移動できました。

ちなみに、電動自転車であっても坂道では体力を使う場面があったので、レンタサイクルを利用するなら電動自転車がおすすめ。

今回のトラブルを通して、直島の交通事情を甘く見ていたことを反省しました。

町営バスは便利ですが、休日や観光シーズンには満員で乗れないことがあるため、これをあてにしすぎない計画を立てるのをおすすめします。

特に子ども連れの場合は、徒歩移動が難しいことを考慮し、電動自転車やレンタカーの手配を早めに検討しておくと安心です。

直島での移動は、計画を柔軟に考え、予備プランを用意しておいてください。

直島の美術品を紹介

直島で訪れた美術館は、ベネッセハウスミュージアム、地中美術館、杉本博司ギャラリー、ヴァレーギャラリーの4つ。

それぞれに独自の魅力があり、アート好きにはたまらない時間を過ごせること間違いなしです。

ベネッセハウスミュージアム

最初に訪れたのは、ベネッセハウスミュージアム。

1992年にオープンしたこの施設は、美術館とホテルが一緒になったユニークなスタイルです。

瀬戸内海を見下ろす直島の高台にあり、まるで自然に溶け込むように建てられています。その建物を手がけたのは、世界的に知られる建築家・安藤忠雄。

大きな窓や開放的なデザインが特徴で、外の景色をそのまま室内に取り込むような作りになっています。

ここでは、絵画や彫刻、写真、インスタレーションなどの多彩なアート作品が展示されています。

館内だけでなく、外の自然の中にも作品が点在しており、時間をたっぷり使ってゆっくり見て回りたいスポットでした。

開館時間:8:00〜21:00(最終入館20:00)
休館日:年中無休
鑑賞料金:オンライン購入 1,300円/窓口購入 1,500円
https://www.benesse-artsite.jp/art/benessehouse-museum.html

地中美術館

続いて訪れた地中美術館は、安藤忠雄氏が設計した地下空間に作られた美術館です。

モネの「睡蓮」の展示で有名ですが、私が特に感動したのはジェームズ・タレルの《オープン・フィールド》とウォルター・デ・マリアの《タイム/タイムレス/ノー・タイム》でした。

《オープン・フィールド》は、入場制限があり8人ずつのグループで案内されます。

事前にどんな作品か知らなかったのですが、多くの人が並んでいるのを見て私も並ぶことに。

順番が来て部屋に入ると階段の奥にブルーのスクリーンのようなものが見え、「階段を上ってさらに進んでください」と誘導されました。

そのスクリーンだと思っていたものが実は空間への入口だったことが分かった瞬間、思わず息を呑みました。

そして空間に入ったあとからも、さらに驚きの体験が待っています。

具体的な内容はここではお伝えしませんが、ぜひ地中美術館を訪れて、ご自身で体験してみてください。

もう一つ印象的だった《タイム/タイムレス/ノー・タイム》は、広々とした空間の中央に直径2.2mの球体が鎮座し、その周囲を27体の金箔を施した木製の彫刻が取り囲む作品です。

この作品を目の前にしたとき、理由もなく涙があふれてきました。

この空間と作品が私の感情の奥深くに触れたのだと思います。

写真では伝わらない感動が詰まっているので、ぜひ足を運んで体感していただきたい作品です。

もし再び直島を訪れることがあれば、この空間で何時間でもぼんやりと球体を眺めていたいと思うほど、心を揺さぶられました。

開館時間:3月1日 ~ 9月30日10:00 ~ 18:00( 最終入館17:00 )
     10月1日 ~ 2月末日10:00 ~ 17:00( 最終入館16:00 )
休館日:月曜日
※ ただし、祝日の場合開館、翌日休館
鑑賞料金:
平日 オンライン購入 2,500円/窓口購入 2,800円
土日祝 オンライン購入 2,700円/窓口購入 3,000円
https://benesse-artsite.jp/art/chichu.html

ヴァレーギャラリー

ヴァレーギャラリーは、ベネッセハウスミュージアムからシャトルバスで2分ほどの場所で、入館料がベネッセハウスミュージアムのチケットに含まれているため、追加料金なしで楽しめます。

このギャラリーは自然とアートが調和するよう設計されており、周囲の美しい景観と一体となった展示が特徴です。

開館時間:9:30 ~ 16:00(最終入館 15:30)
鑑賞料金:ベネッセハウス ミュージアムの入館料に含む(ヴァレーギャラリー現地でも同チケットを購入可能)
https://www.benesse-artsite.jp/art/benessehouse-museum.html

杉本博司ギャラリー

杉本博司ギャラリーでは、硝子の茶室が印象的でした。

杉本博司ギャラリー内のカフェでは抹茶と和菓子が提供され、そこから硝子の茶室とその奥に広がる海や海岸を眺めながら、静かな時間を楽しめます。

このギャラリーの外にもさまざまな作品が展示されていました。

開館時間:11:00-15:00(最終入館14:00)
休館日:年中無休
鑑賞料金:オンライン購入 1,500円/窓口購入 1,600円
*呈茶(お茶とお菓子)付き
https://www.benesse-artsite.jp/art/sugimoto-gallery.html

草間彌生の「南瓜」

直島を象徴する草間彌生の赤と黄色の「南瓜」。

黄色の南瓜は天候の悪化が予想されたため展示が休止されていましたが、赤い南瓜は港のすぐ近くにあり、気軽に鑑賞できました。

この大胆なデザインと鮮やかな色合いのオブジェは、写真映えも抜群です。

どの美術館も、単にアートを鑑賞するだけでなく、空間全体を体感し、心で味わう特別な体験を提供してくれる場所でした。

直島ならではのアートの世界を、ぜひ堪能してみてください。

黄色の南瓜の台座だけありました

今回の反省点とこれから直島に行く人へのアドバイス

今回の旅では、家族で直島を訪れましたが、予定していた町営バスに乗れないという予想外のトラブルで出だしにつまずいてしまいました。

家族での旅行だったため、何とか気持ちを切り替えて楽しめましたが、これが友人同士だったら、疲れやイライラからお互いに不機嫌になっていたかもしれません。

そのため、特に休日や大型連休に訪れるのであれば、町営バスに頼りすぎる計画はリスクが高いと感じました。

さらに、たとえ最初に町営バスに乗れたとしても、美術館エリアから港へ戻る際にも長い列ができており、帰りのバスに乗れない可能性も十分に考えられます。

そのため、町営バスを利用する場合は混雑を見越した柔軟なプランを立てておく必要があるでしょう。

大人だけの旅行であれば、歩きやすい靴と服装を用意して、徒歩を前提に計画を立てるのも一つの方法です。

直島は坂道が多いので体力は必要ですが、徒歩でしか気づけない景色や雰囲気を楽しめるでしょう。

家族連れの場合は、電動レンタサイクルやレンタカーの利用を早めに検討し、混雑時に備えたプランを用意しておくことを強くおすすめします。

直島のさまざまな美術館を1日で巡りたいと思えば、事前準備と計画が重要です。

スムーズな移動手段を確保して、アートと自然が織りなす特別な時間を最大限楽しんでください。

※各美術館の開館日や料金は2025年1月の情報です。

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