説明が終わってもなぜか動かない。カンボジアで気になった「間」
カンボジア旅行2日目。
朝8時半にホテルを出発して、アンコールトムへ向かいます。
ツアーは、私たち姉妹と、一人で参加していた女性二人の計4人。
ガイドは前日、空港まで迎えに来てくれたソニーさんです。
まず向かったのは、アンコール遺跡群の入場券売り場でした。
ここで3日間使えるパスを作ります。
面白いのが、一人ずつ顔写真を撮ること。
出来上がったチケットには、ちゃんと自分の顔が入っています。
観光地の入場券というより、ちょっとした身分証明書のようです。
これを持って、いよいよ遺跡巡りが始まります。
遺跡は話を聞くと急に面白くなる

実際に遺跡を回り始めて、早々に思いました。
カンボジアは、ツアーで来てよかったかもしれない。
私は知りたいことがあると、説明を聞きたいほうです。
遺跡も、ただ見ているだけなら、
大きいな。
古いな。
すごいな。
で終わってしまうかもしれません。
でも、
「ここでは、こんなことが行われていました」
「この彫刻には、こういう意味があります」
とその場で聞くと、それまで石だったものに急に意味が出てきます。
ガイドブックを読みながら歩くこともできますが、私はやっぱり人から聞くほうが面白い。
わからなければ、その場で聞けます。
そして、その場所に立ちながら聞いた話は、不思議とあとまで覚えています。
遺跡を歩いていると、中国語や韓国語、英語も聞こえてきます。
何百年も前に造られたものを見ようと、世界中から人が集まっているのも不思議な光景でした。
ソニーさん写真までうまい

そしてソニーさんは、遺跡の説明だけではありませんでした。
写真を撮るのが、とても上手です。
「ここに立って」
「ここから撮るといいですよ」
と、撮影ポイントまで教えてくれます。
それだけなら分かります。
ところが姉のスマホを受け取ると、姉本人も知らなかったパノラマ撮影機能まで使い始めました。
姉も、
「こんなのできるんだ」
という顔をしています。
遺跡の歴史を説明して、撮影場所を見つけ、スマホの機能まで使いこなす。
ガイドさんというのは、ずいぶんいろいろなことができるものです。
こちらとしてはありがたい。
説明を聞いて、写真を撮ってもらい、少し歩いて次の場所へ。
そんなふうに観光していたのですが、何か所か回っているうちに私は別のことが気になり始めました。
この時間は何だろう?

ソニーさんの説明が終わります。
写真も撮り終わります。
さて、次へ。……とはなりません。
少し、その場にいます。
特に何をするでもなく、みんなでそこにいる。
そして、しばらくすると、
「じゃあ、行きましょうか」
となります。
最初は、
この時間は何だろう?
と思いました。
たまたまかな。
ところが、また次の場所でも同じです。
説明が終わる。
写真を撮る。
少し、そのまま。
そして、
「じゃあ、行きましょうか」
何度か繰り返すうちに、この「間」にも慣れてきました。
もちろん、4人だけの少人数ツアーだったからかもしれませんし、ソニーさん自身のペースだったのかもしれません。
でも、前日の空港やホテル、ナイトマーケットで感じたのんびりした空気も思い出して、もしかすると、ここでは時間が少しゆっくり流れているのかな。
そんなことを考え始めました。
象のテラスで昔の景色が見えてきた
この日の遺跡巡りで、特に印象に残った場所のひとつが「象のテラス」でした。

ここは昔、王が凱旋する軍隊を眺めたり公式な儀式に使われたりした場所だとソニーさんが教えてくれました。
その話を聞いた途端、目の前の景色が少し変わりました。
ここに王が立っていた。
その前を軍隊が進んでいった。
それまで目の前にあったのは石造りの遺跡だったのに、そこに人が入ると急に昔の景色が見えてくるようです。
なるほど。
遺跡を見る面白さは、こういうところにあるのか。
「何年に造られた」という話ももちろん大切です。
でも私は、
ここで誰が何をしていたのか。
そちらを聞くほうが好きなのだと思います。
その人が立っていた場所に、自分も今立っている。
何百年も離れているのに、場所だけは同じです。
象のテラスでは、なぜか少し懐かしいような感覚もありました。
もちろん、初めて来た場所です。
知っているはずがないのに、なんだか知っているような気がする。
そういう場所ほど妙に覚えています。
「オークン」はすぐ覚えた

もうひとつ、すぐに覚えたものがあります。
カンボジア語で「ありがとう」。
オークン。
一度聞いただけなのに、妙に耳に残りました。
ホテルの人や運転手さんにも、
「オークン」
と言ってみます。
すると、にこっと笑ってくれる。
それがうれしくて、また使います。
私は外国へ行くと、こういう言葉を知りたくなります。
たくさん話せなくてもいい。
こんにちは。
ありがとう。
おいしい。
たった一語でも、知って使えば楽しくなります。
お土産屋さんでも時間を言われない
午前中の観光が終わると、お土産屋さんへ向かいました。
ツアーではおなじみのコースです。
店の中を見始めたのですが、ここでも集合時間を言われません。
最初は気にせず見ていたのですが、時間がたつと、
いつまで見ていていいんだろう?
と、こちらのほうが気になってきます。
他の参加者とも、
「時間、言われてないですよね」
なんて話しました。
みんなの買い物がひと段落して外へ出ると、ソニーさんが、
「じゃあ、バスに乗りましょうか」
と。
それだけです。
なるほど。
みんなが終わったら、次へ行く。
時計が先ではなく、人が先なのか。
遺跡で感じたあの「間」を、ここでも思い出しました。
そして昼休みまである
そのあと昼食を食べ、いったんホテルへ戻りました。
午後の集合は14時半です。
つまり、昼休みです。
そしてホテルへ戻るなら、やることがあります。
マッサージです。
今回はツアー特典で20分無料。
前日のナイトマーケットで1回。
ホテルで1回。
そして今回。
カンボジアに来て2日目にして、3回目のマッサージです。
時間がある。
無料券もある。
マッサージも好き。
なら、しない選択はありません。
少しずつ見えてきた私が出会ったカンボジア

カンボジアへ来る前、この旅でいちばん楽しみにしていたのはアンコールワットでした。
でも、実際に来てみると、遺跡以外にも気になることが少しずつ増えていました。
なかでも不思議だったのが、あの「間」です。
急かされない。でも、特に何かを待っているわけでもない。
何度か繰り返すうちに、そのペースにも少しずつ慣れてきました。
そして翌朝は5時20分出発。
いよいよアンコールワットの日の出です。
このシリーズをまとめているカンボジア旅行記はこちらです。
□カンボジア・ベトナム旅行|アンコールワットだけじゃなかった4泊5日の記録
①空港からして想像と違った|姉とふたり、初めてのカンボジアへ
②値切って、揉まれて、また揉まれる。シェムリアップの夜は忙しい
③今回の記事です

