30分じゃ足りません。シェムリアップのオールドマーケットへ
カンボジア旅行3日目。
午前中の遺跡観光を終えて昼食をとったあと、希望者だけオールドマーケットへ行くことになりました。
そこでガイドのソニーさんが、
「どのくらい、ここにいますか?」
と聞きました。
同じツアーの女性二人が、
「30分くらい」
と答えます。
30分?
こんな面白いところで、30分?
私には、どう考えても足りそうにありません。
きれいなお土産屋さんもいいのですが、私は市場のほうが好きです。
商品がきれいに並んでいるわけでもなく、値札があるのかないのかも分からない。
だからまず、
「これ、いくら?」
から始まります。
そのやり取りも含めて面白いのです。
しかも、この日は夜の飛行機まで時間があります。
「私たちは自分たちでホテルに戻ります」
と伝えて、ここでツアーのみなさんとはお別れ。
あとは姉と二人、時間を気にせず歩くことにしました。
まずはハンモックを探す

この日、一応買おうと決めていたものがありました。
ハンモックです。
なぜ、カンボジアまで来てハンモックなのか。
町を歩いていると、トゥクトゥクの運転手さんが車体にハンモックをかけて休んでいたり、木と木の間に吊って寝ていたりします。
それを何度も見ているうちに、
そういえば私、子どものころハンモックが欲しかったな。
と思い出しました。
とはいえ、わが家には吊るす場所がありません。
そこで次男に、
「ハンモック欲しい?」
とメッセージで聞いてみたら、
「欲しい!」
とのこと。
では、買って帰りましょう。

どこに吊るすのかは、帰ってから考えればいい。
午前中にソニーさんへ相場を聞いてみると、
「わからないけど、5ドル以上はしないと思う」
とのことでした。
こういうのは、だいたいわかれば十分です。
相場がまったく分からないのと、「5ドルくらいらしい」と知っているのでは、こちらの気持ちがずいぶん違います。
さっそく店で聞いてみます。
「ハンモック、いくら?」
「5ドル」
なるほど。
と思った、その瞬間。
「3ドルにするよ」
まだ私は安くしてくれと言っていません。早い。
カンボジアへ来てから何度か思っていますが、本当に値段が下がるのが早いのです。
中国では、こちらもそれなりに気合を入れて値段交渉をしてきました。
ところがカンボジアでは、こちらが構える前に向こうから下がってきます。
長男も欲しいと言うかもしれないので、二つ買うことにしました。
「二つなら?」
と聞いて、2個で4ドル。
成立です。
いい買い物をした。
そう思って日本へ帰り、長男に渡したら、
「ハンモック? かけるとこないよ」
とのこと。
ソウデスヨネ。
モンペを探して右へ左へ

次に探したのはパンツです。
市場には、いかにも東南アジアらしい柄のサルエルパンツや巻きスカートがたくさん並んでいます。
現地で見るとかわいい。旅先だと、ちょっと欲しくなる。
ただ、日本へ帰ってから履くかと言われれば、その可能性はかなり低いことも知っています。
そこで私は、無地なら日本でも履くかもと、コットンの無地で裾がきゅっと絞ってあるパンツを探すことにしました。
要するに、モンペです。
一方、姉が探していたのはフレアースカート。
巻きスカートはいくらでもあるのに、フレアーとなるとなかなか見つかりません。
「あ、これ」
と思えば、
「派手すぎる」
次。
「これは?」
「形が違う」
また次。
でも、今日は30分ではありません。
時間はいくらでもあります。
店から店へ。
右へ左へ。
奥へ奥へ。
こういう探し方ができるのが、市場の楽しいところです。
ようやく姉が気に入ったのは、クジャク柄のスカートでした。
小さな飾りがたくさん縫いつけてあります。
お店のお姉さんによると、
「これは一つずつ手でつけているから高いのよ」
とのこと。
そうなの?
と思いましたが、わざわざ「噓でしょ」とは言いません。
結局、10ドル。
私は横で、もう少し下がりそうだけどな。と思っていました。
でも姉は、「まあ、いいや」という感じです。
私も別に1ドル、2ドルをどうしても安くしたいわけではありません。
ないのですが、せっかく市場に来たのだから値段交渉はしたい。
「高いよ」
「じゃあ、これなら?」
「もう少し」
「無理」
そんなやり取りをして、最後にお互い、
「OK」
となる。
安く買えたことより、そのやり取り自体が楽しいのです。
ちなみに私は、同じ店でモンペを2枚5ドルにしてもらいました。
探していないものほど目に入る

欲しかったものをだいたい買ったので、あとはぶらぶら歩きます。
すると、今度は鮮やかな青が目に入りました。
ショールです。
こういうものは困ります。
探しているときにはなかなか見つからないのに、買う予定のないものほど急に目に入ってきます。
「これ、見せて」
とお店のお姉さんに言うと、広げながら、
「カンボジアシルクよ。裏は色が違うの」
と教えてくれました。
表は鮮やかな青。
裏返すと、少し緑がかった色。
あ、これいい。
最初はいくらだったか、20ドルくらいだったと思います。
そこから少しやり取りをして、10ドルになりました。
こういう買い物は、あとから物だけが残るわけではありません。
家でそのショールを見ると、市場の店先や、お姉さんが布を広げて見せてくれたことまで一緒に思い出します。
たぶん私は、物そのものだけでなく買ったときの出来事まで持って帰るのが好きなのだと思います。
ビールを飲みながら向かいの店を見る

さすがに歩き疲れて、少し休憩することにしました。
私は生ビール。
1ドル。

姉は豆乳のブルーベリージュースのようなものを頼みました。こちらは3〜4ドルくらい。
席に座って外を眺めていると、向かいのトゥクトゥクの運転手さんと目が合いました。
するとすぐ、
乗っていけ。
というジェスチャー。
いや、まだ帰りません。
姉はWi-FiにつないでFacebookに写真を上げ始めました。
私は特にすることがないので、通りを眺めます。
すると向かいに、小さな果物ジュースの露店がありました。
店番をしているのは子どもです。

何歳くらいでしょう。
お客さんが来るとメニューを渡し、注文を聞き、ビニール手袋をして果物を切り、ジューサーへ入れます。
慣れたものです。
私はだんだん、その子の仕事ぶりが気になってきました。
「使ったジューサー、洗うと思う?」
姉に聞きながら見ていると、水を少し入れてシャカシャカ。
そして、その水を店の横へジャーッ。
ああ、そうするのね。
ひとつ疑問が解決しました。
こういうものを眺めている時間が、私は好きです。
有名な遺跡も見たい。
でも、知らない町で、知らない人が普通に暮らしているところも見ていたい。
何をしているんだろう。どうやってやるんだろう。
眺めていると、知りたいことが次々に出てきます。
ガイドブックには載っていません。
でも、旅のあとまで妙に覚えているのは、こういう場面だったりします。
そして結局またマッサージ
休憩したあと、もう一度マーケットを歩きました。
ところが欲しいものをだいたい買ってしまうと、さすがの私たちも少しずつ見るものがなくなってきます。
ひと通り歩くと、だんだん見覚えのある商品も増えてきます。
「どうする?」
「マッサージでも行く?」
またです。
カンボジア滞在3日目。
5回目のマッサージ。
60分で6ドル。しかも時間はあります。
なら、しますよね。
私は指圧。
姉はオイルマッサージを選びました。
オイルは10ドルくらいです。
カーテンで仕切られた隣同士のスペースに入り、私は横になりました。
すると、しばらくして隣から姉の声がします。
「えっ? あなた?」
何?どうしたの?
続いて、「私、オイルマッサージよ? 洋服脱いでるのよ?」
どうした、姉。
カーテン越しなので、こちらからは何も見えません。
話を聞いていると、どうやら姉の担当として男性がやってきたようです。
オイルマッサージですから、姉はバスタオル一枚。
それは確かに、ちょっと待ってほしい。
結局、女性スタッフに替えてもらい無事解決しました。
私の担当も男性でしたが、こちらは普通の指圧なので問題ありません。
ただ、私には別の問題がありました。
押してくれます。
揉んでもくれます。
でも、
そこじゃない。
もう少しこっち。
惜しい。
やっぱり違う。
どうにもツボに入りません。
カンボジアに来て何度かマッサージを受けましたが、どうも私が期待する「ツボ」とは少し違うようです。
そんなことを考えながら60分。
姉の担当者問題は無事に解決し、私のツボには最後まで入らないまま、5回目のマッサージは終わりました。
やっぱり30分では足りなかった

こうして、オールドマーケットで何時間も過ごしました。
行きたい場所へ行き、見たいものを見る旅も好きです。
でも市場では、何かを見つけるというより、うろうろしているうちに何かが向こうから入ってきます。
だから、時間が必要です。
オールドマーケットに30分。
やっぱり私たちには、どう考えても足りませんでした。
旅先で買い物が増えそうなら
市場やスーパーを歩いていると、予定になかったものまで増えていきます。
小さくたためるエコバッグがひとつあると、旅先で荷物が増えたときにも便利です。
このシリーズをまとめているカンボジア旅行記はこちらです。
□カンボジア・ベトナム旅行|アンコールワットだけじゃなかった4泊5日の記録
①空港からして想像と違った|姉とふたり、初めてのカンボジアへ
②値切って、揉まれて、また揉まれる。シェムリアップの夜は忙しい
③説明が終わってもなぜか動かない。カンボジアで気になった「間」
⑤今回の記事です

