値切って、揉まれて、また揉まれる。シェムリアップの夜は忙しい
ソニーさんは、シャトルバスの乗り場について、「行けばわかりますよ」という感じで教えてくれました。
だから、行けばわかると思っていました。
ところが。
行ってみても、全然わかりません。
ホテルから10分ほど歩いたところに、JTBの無料シャトルバスの乗り場があるはずです。
でも、看板がない。
バス停らしきものもない。
そして、バスも来ない。
姉と二人で、
「ここ?」
「たぶん」
「でも、何もないよね」
「ないね」
しばらくそのあたりを見て回りましたが、やっぱりわかりませんでした。
初めての町で、もう夜です。
しかも私たちは、二人そろって方向音痴。
ただ、ナイトマーケットには行きたい。
そこで、
「歩いて行こうか」
となりました。
ホテルへ戻るという案は、出ませんでした。
行きたい場所があるなら、とりあえず行ってみたい。
たぶん、二人ともそういうところは似ています。
歩いていたら町が急ににぎやかになった

しばらく歩くと、少しずつ店の明かりが増えてきました。
そして気づけば、あたりはさっきまでとはまるで違うにぎやかさになっていました。
ナイトマーケットです。
服、お土産、食べ物、バー、マッサージ。
店がずらりと並び、その間を観光客が行き交っています。
昼間に車の窓から見ていたシェムリアップとは、ずいぶん雰囲気が違います。
夜になると、こんな顔になるのか。
初めての町では、時間が変わるだけでも知らない景色が出てきます。
さて、ここで私が見たかったのはクロマーとサルエルパンツ。
クロマーは、ホテルに着いたとき首にかけてもらったカンボジアの布です。
せっかくなら、自分でも一枚ほしい。
サルエルパンツも、旅行中の着替えに使えそうでした。
そして市場です。
ということは、値段交渉です。
カンボジアの値段交渉は、思ったより早い
中国に住んでいたころは、市場で買い物をするたびに値段交渉をしていました。
今回もそのつもりでいました。
ところが、カンボジアでは思っていたより話が早い。
こちらが「ちょっと高いな」という反応をすると、向こうから値段が下がってきます。
まだ、こちらは本格的に交渉を始めていません。
え、もう下がるんだ。
少し拍子抜けするくらいでした。
この夜買ったのは、コットンパンツ、巻きスカート、ノースリーブワンピース、姉の柄物パンツ。
4枚で15ドル。
あっさりまとまりました。
買うつもりのなかったクロマーを買う

そのあと、別の店でクロマーを見ました。
お店のおじさんが、
「これは?」
「こっちは?」
と、次から次へ広げてくれます。
けれど、どうもしっくりくるものがありません。好みではない。
なら買わなければいいだけなのですが、目の前にはおじさんが私のために広げたクロマーが何枚も並んでいます。
ここまでやってもらって、何も買わずに出るのも悪いような気がしてきました。
そして結局、一枚購入。
3ドルです。
0.5ドルの生ビール
歩き回ったので、少し休憩することにしました。
適当に入った店で、生ビールを頼みます。
値段は、0.5ドル。
安い。
こういう「日本とは全然違う値段」に出会うのも、海外では面白いものです。
フルーツサラダも頼んで、しばらく休憩しました。
食べることを目的に旅をするタイプではありませんが、知らないものや、その土地でしか見かけないものは気になります。
全部食べたいわけではない。
でも、全部見たい。
さっき3ドルだったものが、今度は12ドル
休憩したあと、またマーケットを歩いていると別の店でクロマーを見つけました。
気になるものがあったので値段を聞いてみます。
「これ、いくら?」
「12ドル」
12ドル?
さっき、一枚3ドルで買っています。
素材や柄の違いがあるのかもしれませんが、さすがにこれはそのまま払う気にはなりません。
ここでようやく、値段交渉らしい値段交渉が始まりました。
あれこれやり取りをして、結局2枚で8ドル。
成立です。
もっと下がったのかもしれません。
でも、こちらも交渉を楽しめたので、それで十分でした。
考えてみれば、市場というのは不思議です。
同じようなものが3ドルだったり12ドルだったりして、話しているうちにまた値段が変わる。
値段まで、人とのやり取りの中で決まっていきます。
見つけてしまった10分1ドル

さらに歩いていると、マッサージ店が目に入りました。
料金を見ると、10分1ドル。
これは気になります。
姉も私もマッサージが好きなので、30分お願いすることにしました。
肩と首と頭です。
揉んでは、くれます。
ちゃんと揉んでくれます。
ただ、
そこじゃない。
もう少し右。
そこでもない。
ツボのすぐ近くまでは来るのに、なかなか「そこ!」に当たりません。
マッサージを受けて気持ち良くなるはずなのに、「そこじゃない」というはがゆさが静かにたまっていく。
でも、お値段を考えると十分なのかもしれません。
それより面白かったのは、カンボジアに着いたその日の夜に、ナイトマーケットの片隅でマッサージを受けていることでした。
福岡を出たのは、同じ日の朝です。
それが今は、シェムリアップの夜の市場で肩を揉まれている。
一日というのは、場所が変わるとずいぶん長い。
これが、この旅最初のマッサージでした。
このときはまだ、3日間で5回も受けることになるとは思っていませんでした。
帰りはトゥクトゥク
そろそろホテルへ戻ります。
帰りはトゥクトゥクです。
ここで役に立ったのが、ホテルへ向かう車の中でソニーさんに聞いておいた相場でした。
ホテルまで、だいたい3ドル。
運転手さんに聞くと、
「3ドル」
とのこと。
ぴったりです。それなら話は早い。
今回は値段交渉をせず、そのまま乗りました。
トゥクトゥクが走り出すと、夜風がそのまま入ってきます。
窓もドアもないので、町との距離が近い。
さっき歩いてきた道を、今度はすいすい戻っていきます。
さっき揉まれたばかりなのに
ホテルへ戻りました。
これで初日は終了。……のはずでした。
部屋で何気なくホテルの案内を見ていると、マッサージの料金が目に入りました。
60分15ドルとか20ドル。
ホテルなのに、この値段!
姉と顔を見合わせます。
さっきマッサージを受けたばかりです。
しかも30分。
普通なら、今日はもう十分でしょう。
でも、さっきのマッサージは、どうにもツボに入りきらなかった。
なら、ホテルのマッサージはどうなのだろう。気になります。
「行く?」
となりました。
こうして、初日2回目のマッサージへ。
今度は足をお願いしました。
さて、こちらはどうだったか。
痛くありません。
全然痛くありません。
つまり、今回もまた、
そこじゃない。
施術する人たちは、おしゃべりをしながらのんびり揉んでいます。
そのうち私も、
まあ、これはこれでいいか。
と思うようになりました。
まだアンコールワットは見ていない

こうして、ようやく初日が終わりました。
でも、この時点ではまだアンコールワットを見ていません。
カンボジアへ来る前、いちばん楽しみにしていたのはもちろん遺跡でした。
それなのに、その遺跡を見る前から、
「カンボジア、楽しいね」
と姉と話していました。
予定どおりだったことより、少しずれたことのほうがもう初日の記憶に残っています。
翌日からは、いよいよ遺跡観光です。
夜の街歩きに持っていくもの
ナイトマーケットのような場所を歩く日は、荷物を増やしすぎず、貴重品だけを持てる小さめのバッグがあると便利です。
このシリーズをまとめているカンボジア旅行記はこちらです。
□カンボジア・ベトナム旅行|アンコールワットだけじゃなかった4泊5日の記録
①空港からして想像と違った|姉とふたり、初めてのカンボジアへ
②今回の記事です
③説明が終わってもなぜか動かない。カンボジアで気になった「間」

