バンコクのショッピングモールで二重扉の奥に連れていかれた話
バンコク4日目。
午前中に水族館へ行き、そのあとMBKショッピングセンターへ向かいました。
MBKはとにかく広い。
服もバッグも雑貨も食べ物もあって、ぶらぶら歩いているだけでもかなり時間が過ぎていきます。
そんな、ごく普通のショッピングモールの中を歩いていたときです。
「スーパーコピー、スーパーコピー」
と、声をかけられました。
意味は、まあ、わかります。
私はブランド品そのものにあまり興味がないので、そのまま通り過ぎてもよかったのですが、娘が言いました。
「見たい」
私は、別に見なくてもいいんじゃない?と思う側。
娘は、見てみたいと思う側です。
一人だったら、たぶんここで終わっています。
でも娘が「見たい」と言うので、私もついていくことになりました。
店頭には何もない

「見たい」と伝えると、お店の人が奥へ案内してくれました。
ところが、店頭にはそれらしい商品が並んでいません。
どこにあるんだろうと思いながら、そのまま後ろをついて行くとさらに奥へ。
そこに扉がありました。
開けて入る。
すると、その先にもう一枚。
また扉です。
二重扉。
なるほど。
そういう世界なのね。
ほんの少し前まで、服やバッグを見ながら普通にMBKを歩いていたのに、扉を二つ通っただけで急に別の場所へ入り込んだような感じがしました。
後ろで「ガチャ」と鍵が閉まった
二つ目の扉の向こうには、バッグなどが並んでいました。
私たちが中へ入ります。
すると後ろから、
ガチャ。
音がしました。
振り返る。
鍵が閉まっています。
え。
閉めるんだ。
怖くてどうしよう、というほどではありませんでしたが、さすがに少し驚きました。
さっきまで誰でも歩けるショッピングモールにいたのに、今は二重扉の向こう。
しかも鍵付き。
大丈夫かな、私たち。
バッグより気になった「本物の証明書」

中では、お店の人がいろいろな商品を見せてくれました。
バッグだけではありません。
箱もある。
紙袋もある。
そして、
「本物の証明書もある」
というようなことまで言われました。
そこまであるのか。
商品そのものより、そちらのほうが気になります。
「スーパーコピー」として案内された商品なのに、「本物だという証明書」までついている。
もちろん、その紙が何をどこまで証明するものなのかは私にはわかりません。
少なくとも店員の説明を聞く限り、商品だけでなく、箱や袋なども一式そろえているようでした。
へえ。
知らない世界です。
ブランド品そのものにはそれほど興味がないのに、どうやって本物らしく見せるのかは、ちょっと気になりました。
買わなくても普通に出られた
お店の人はいろいろ見せてくれました。
ただ、私はそもそも本物のブランド品にも、そこまで興味がありません。
本物にもあまり興味がない人間が、スーパーコピーを見たところで、やっぱり欲しくはならない。
ここまで連れてきてもらっておいて何ですが、
「気に入るのがない」
と言って、出ることにしました。
とはいえ、後ろの扉には鍵がかかっています。
買わなくても出してもらえるよね。
そこが気になります。
でも、お店の人はあっさり鍵を開けてくれました。
一つ目の扉を通る。
もう一つの扉も通る。
外へ出る。
そこには、さっきまでと同じMBKがありました。
人が歩いています。
店が並んでいます。
みんな普通に買い物をしています。
ほんの少し前まで、私は二重扉の奥で後ろから鍵をかけられていたのに。
何事もなかったように、ショッピングモールの続きがそこにありました。
一番覚えているのはバッグではない

娘が「見たい」と言わなかったら、私はそのまま通り過ぎていました。
二重扉があることすら知らないままです。
この出来事で一番印象に残ったのは商品ではなく「二重扉」と、後ろで鳴った、「ガチャ」という音です。
そして外へ出た瞬間、何事もなかったように続いていたMBK。
そのあとも普通に買い物をしました。
ただ、さっきまで歩いていたのと同じショッピングモールが、少しだけ違って見えました。
※この記事は2018年のバンコク旅行で実際に体験した出来事を振り返ったものです。偽ブランド品の購入や持ち込みを勧めるものではありません。

