「あと5分」が「あと10分」になる。バンコクでGoogleマップに翻弄された日
私は方向音痴です。
だから海外旅行でGoogleマップは欠かせません。
紙の地図だけだと現在地そのものを見失いますが、Googleマップなら青い点が「あなたはここ」と教えてくれる。目的地までの道順も出る。
なんてありがたい。
方向音痴にとっては、かなり頼りになる文明の利器です。
ただし、Googleマップを持ったからといって、方向感覚までよくなるわけではありません。
そのことを、バンコクでしみじみ思い知りました。
最初につまずいたのはATMだった

この日は朝から水上マーケットへ行き、ツアーが終わったあと、サイアムで解散しました。
そのあと両替をするつもりでしたが、行こうと思っていた両替所は日曜日で休み。
ではATMで下ろせばいい。
海外でも自分の口座から現金を引き出せるイオン銀行のカードを持っていて、以前ホーチミンでは問題なく使えました。
今回も大丈夫なはず。
そう思ってATMにカードを入れたのですが、下ろせません。
利用できるはずのマークはついている。それなのに下ろせない。
別のATMへ行ってみます。
やっぱり下ろせません。
どうして。
理由はわからないまま、ATMはあきらめることにしました。
開いている両替所を探してみると、娘がこのあと行きたがっていたプラティナムファッションモールの近くに一軒あるらしい。
それなら都合がいい。
両替を済ませて、そのまま娘の行きたい場所へ向かえます。
Googleマップを開きました。
この時点ではまだGoogleマップを疑っていませんでした。
地図係は娘。私はついていく係

問題は、誰が地図を見るかです。
私は方向音痴。
ならば、私が先導するより娘に任せたほうがいい。
Googleマップを見る係は娘。私はついていく係。
これなら間違いない。
最初は何も疑わず、娘のあとを歩いていました。
ところが、少しずつ気になってきます。
なんだか、変なところを通っている。
なぜホテルの駐車場を通るのか
Googleマップの案内どおりに歩いているはずなのに、なぜかホテルの駐車場の脇へ入っていきます。
道といえば道ですけど。
でも、観光客が目的地へ向かう道として、ここは普通なのだろうか。現地の人はここを「道」として認識しているのだろうか。
そう考えているうちに、Googleマップはさらに「まっすぐ」と示します。
その先には門。
しかも警備員さんまでいます。
まっすぐ行けない。
私はだんだん不安になってきました。
もっとこう、歩道があって、人が歩いていて、「はい、こちらが道です」とわかるところを通りたい。
とはいえ、私は方向音痴。
車を運転していて「ここは右だな」と思えば、たいてい正解は左。「左でしょう」と思えば右だったりする。
つまり、私が「こっち」と思った方向の反対が、だいたい正解なのです。
そんな自分の感覚とGoogleマップが食い違ったとき、どちらを信じるかと言われれば、それはGoogleマップになります。
「なんか変じゃない?」
とは言える。
でも「じゃあ、どっちへ行けばいい?」と聞かれると困る。
全然わかりません。
「あと5分」が「あと10分」になる

それでも歩き続けます。
Googleマップを見ると、目的地まであと5分。
お。もう少し。
そのまま進んで、しばらくしてもう一度見ると、
あと10分。
え。
増えている。
さっき5分でしたよね。
こちらはちゃんと歩きました。普通なら、残り時間は減るものです。
私たちが迷っているのか、Googleマップが現在地をうまくつかめていないのか。
また歩いて、娘が地図を確認します。
進んでいるはずなのに、「本当にこっち?」という気持ちだけが大きくなっていく。
そのうち、私たちだけでなくGoogleマップまで一緒に迷っているように見えてきました。
頼る相手を間違えたのでしょうか。
とはいえ、ほかに頼れる相手もいません。
やっと「道らしい道」に出た
しばらくして、ようやく観光客らしい人たちが歩いている道に出ました。
ああ、こういう道。
私が歩きたかったのは、こういうところです。
ところが今度は、右へ行くのか左へ行くのかわかりません。
娘は一方向を選びました。
私はそのとき、「たぶん、そっちではない気がする」と思いました。
けれど、その「気がする」に何の根拠もない。
そもそも私の場合、自分が正しいと思った方向の反対が当たっていることのほうが多いのです。
「いや、絶対こっち」と言えるほどの方向感覚はありません。
結局また娘についていきました。
でも、そろそろ疲れていました。
朝から水上マーケットへ行き、戻ってきてからATMを何台か試し、そのあとGoogleマップに案内されてホテルの駐車場まで歩いています。
→水上マーケットで、40バーツのビールが200バーツになっていた
気づけば、お昼も過ぎていました。
「先に何か食べよう」
そう提案しました。
もう無理。いったん座ろう

どこか座れるところはないかと探してみると、娘が進もうとしていた方向とは反対側に、商業施設のような建物がありました。
その1階にタイ料理のお店らしき店が見えます。
もう、ここでいい。
いや、ここがいい。
こういうとき、条件はぐっと少なくなります。
座れる。
ご飯がある。
十分です。
店に入り、ようやく椅子に座りました。
そしてそこで、ほとんど出番のなかった紙の地図を取り出しました。
Googleマップと紙の地図を並べて、現在地と目的地を見比べます。
すると。
あれ。
プラティナム、すぐそこじゃない?
紙の地図を開いたら目的地は目の前だった

本当に、目と鼻の先でした。
もう少し進めば着く距離です。
なのに、Googleマップはさっきまで「あと10分」と言っていた。
では、あのホテルの駐車場は何だったのか。
あの門は?
そして「あと5分」から「あと10分」へ増えた時間は?
娘が言いました。
「もうこれからGoogleマップ信用しない!」
今日に限っては、私もそう思う。
ただし、では明日から何を信用するのか。
そこが問題です。
紙の地図だけでは、自分がどこにいるのかを見失います。だからGoogleマップを捨てるわけにもいかない。
それでも私はまたGoogleマップを開く
それでも、たぶん次の旅行でも私はGoogleマップを開きます。
便利だから。
そして何より、方向音痴だから。
ただ、「あと5分」が歩いたあとに「あと10分」になったら、一度立ち止まる。
紙の地図も、たまには出してみる。
あの日のバンコク以来、そのくらいは覚えました。
※この記事は2018年12月のバンコク旅行を振り返ったものです。現在のGoogleマップの案内精度や周辺道路の状況などは、当時とは異なる可能性があります。
Googleマップにはこの日ずいぶん振り回されましたが、海外旅行ではやっぱり欠かせません。
GoogleマップやGrabを現地で使うための通信手段として、タイ旅行向けのeSIMはこちらにまとめています。

